「不言実行」と「有言実行」

　私の価値観では、絶対に「不言実行」が尊く、「有言実行」等と称する概念は唾棄すべきだと考えておりますが、どうも世間ではそうではなさそうです。大体、「不言実行」がまずあって、それに対抗する言葉として「有言実行」なる言葉が出来た訳ですが、つまらぬビジネス本やその手のWeb記事では、「きちんと目標を宣言して事を起こす有言実行の方が不言実行より尊い」とか言っているようです。しかし私に言わせれば、そんなものは嘲笑の対象でしかありません。

　そもそも不言実行の本当の意味を知らない人が多過ぎます。「不言実行」とは「口より先に手を動かす」であって、それ以上でもそれ以下でもありません。この考えに立てば、「有言実行」は実に薄っぺらいものだと分かります。

　現在、「有言実行」と言われているものは、「目標をきちんと宣言し、実行する」事だ等と言われておりますが、これは「有言実行」等ではありません。「目標をきちんと宣言し、実行する」は、「納期厳守」であり「進捗管理」です。こんな事は、仕事においては元々からきっちりとやらねばならない事であって、「私は有言実行している」等と偉そうに吠える程の物ではありません。

　「有言実行」と称するものは、要するに「俺ってこれだけ大変なことにチャレンジしているんだぜ。凄いだろ」と言う、単なる自己顕示です。

　「余計な事を言わず、さっさと仕事に取り掛かり、口より先に手を動かして、進捗を管理して納期を守る」、これこそが「不言実行」です。余計な事をペラペラしゃべるヒマがあったら手を動かして仕事を少しでも先に進めろ、と、「有言実行」者には言いたいですね。余計な事を喋ればそれだけ手は止まるのですから。