「夫の扶養からぬけだしたい」の本質は「大人としての覚悟の欠落」である。
最近Webを見て回りますと、「夫の扶養からぬけだしたい」と言う漫画の広告がやたらと目に付く状態が起こっています。この話は、「専業主婦のももこが夫のつとむから受ける仕打ちに耐えかねて自立を決意し、扶養から抜ける201万の年収を目指し、結果としてそれを達成して夫に離婚を突き付け、精神的復讐を果たす」と言う内容なのですが、Webで感想を見る限りでは、「夫のつとむはモラハラをやっている。許せない」と言う、「女性の視点からの意見」が多いようです。
当然の事ですが、「夫の扶養からぬけだしたい」は「商品」です。「世の女性に訴えて共感を得、本を買って読んで貰い、スカッとして戴く」のが目的なのですから、夫を悪の権化のように書くのは当然であり、その意味では作者は儲かってウハウハなんでしょう。これについては否定も肯定も致しません。
しかしながら、ももこの態度に対し、決して少なくない女性からの「ももこは甘すぎる。ふさげるな」と言う意見も見かけます。私もこれには賛成でして、夫のつとむも、言葉の使い方やももこに対峙する姿勢には大いに問題があるとは思いますが、「言っている事は正論」です。突き詰めて言うと、つとむの主張は「専業主婦なんだから家事と育児はあんたの仕事。きちんとやってくれ」に尽きます。私としては、育児に関しては夫も分担すべきであるとは思いますが、専業主婦である以上、少なくとも家事に関しては完全に主婦の役目でしょう。
漫画の内容をざっと見る限り、ももこは致命的に要領が悪い上、ゴミだらけの部屋で平然と子供を育てている無神経さがはっきりと記述されています。ADHDなどの発達障害があるのではないか、とさえ思えます。話が進むに連れ、ももこはイラストの仕事で収入を得てその金で家事代行サービスを頼み、サービスの人から家事のコツを教えてもらったりする事により、少しずつ家事も上達して行くのですが、それとて「自分の仕事としての家事」を納得してやっている訳ではありません。ももこにあるのは只々「夫のつとむに対する復讐心」です。ももこが仕事を始めてからの流れは、全てのモチベーションがそれに基づいていると言っても過言ではありません。極め付けは、夫のつとむが交通事故で大怪我をして臥せっている時に、「私はあなたの扶養から抜けるだけの年収を得た。立派に自立したから離婚してくれ」と宣言し、溜飲を下げる所です。傍観者の立場になれば「自営業の年収201万ぐらいで何を威張ってるの? シンママでやって行くならそれじゃ致命的に足りないよ。各種の補助金にタカるつもりか?」とツッコミたくなるのですが、それはまあいいとしても、「夫が交通事故で臥せって弱気になっている時に、ここぞとばかりに復讐する」と言うのは、見苦しい事この上ありません。
まあこれについては「モラハラ夫に復讐する話でスカッとしてもらう」のが目的なので、商品としてはこれでもいいのでしょうが、世の「モラハラ被害者の女性」はこの程度の「レベルが低過ぎるファンタジー」で満足なさっておられるのでしょうか? それだったら、そのような方々も、「ももこ並の甘ちゃんだ」と言わざるを得ないでしょう。
私が見る限りですが、この物語の根底にあるのは「甘えと未熟」です。これはももこもつとむもそうです。一言で言いますと、この物語に出て来る夫婦は、両方共が「子供の時に親に甘えられなかった人間が配偶者にツケを回している」に尽きると思います。お互いに大人として相手の立場を尊重していない事が悪いのです。何よりの証拠は、「ももこは夫が自分の辛さを理解してくれない事に対して苦しんでいたが、家事代行サービスの人や友人から共感してもらって気が楽になって行く」と言う流れです。「自分が家事が下手な事を責めずに慰めて欲しい」ばっかりなのです。つとむはつとむで、「自分は妻子のためにこんなに仕事に苦労している。ももこだけ楽をするのは許せない」と言う、「全く筋違いの論理」に凝り固まっています。家事は妻に対するペナルティではないのですから、「どうすれば結果として家事をスムーズに片付けられるのか」について、ももこと話し合うべきでしょう。つとむにはそう言う態度が完全に欠落しています。そしてこの夫婦には、「自分の仕事は自分の義務なのだから文句を言わずにやる。そこで辛くても無関係な他者にその辛さは向けない」と言う「大人としての覚悟」は、どちらにも全くありません。
子供を作るのなら、ちゃんと責任を持って育てる覚悟で作るべきです。核家族を選択したのなら親との煩わしい人間関係から解放されている分、子育てに手がかかるのは当然です。妻が専業主婦を選択した以上、家事は主婦の仕事です。夫は妻に専業主婦をやらせている以上、少なくとも家事は正当な労働と認めるべきです。夫婦で「役割分担」を決めたのなら、自分の役割は自分の義務です。この物語の夫婦は、どちらにも「大人としての覚悟」が完全に欠落しています。「夫だけが悪い」と言う物ではありません。
この物語は「モラハラ」がテーマではありません。「大人としての覚悟の欠落」が本質です。

当然の事ですが、「夫の扶養からぬけだしたい」は「商品」です。「世の女性に訴えて共感を得、本を買って読んで貰い、スカッとして戴く」のが目的なのですから、夫を悪の権化のように書くのは当然であり、その意味では作者は儲かってウハウハなんでしょう。これについては否定も肯定も致しません。
しかしながら、ももこの態度に対し、決して少なくない女性からの「ももこは甘すぎる。ふさげるな」と言う意見も見かけます。私もこれには賛成でして、夫のつとむも、言葉の使い方やももこに対峙する姿勢には大いに問題があるとは思いますが、「言っている事は正論」です。突き詰めて言うと、つとむの主張は「専業主婦なんだから家事と育児はあんたの仕事。きちんとやってくれ」に尽きます。私としては、育児に関しては夫も分担すべきであるとは思いますが、専業主婦である以上、少なくとも家事に関しては完全に主婦の役目でしょう。
漫画の内容をざっと見る限り、ももこは致命的に要領が悪い上、ゴミだらけの部屋で平然と子供を育てている無神経さがはっきりと記述されています。ADHDなどの発達障害があるのではないか、とさえ思えます。話が進むに連れ、ももこはイラストの仕事で収入を得てその金で家事代行サービスを頼み、サービスの人から家事のコツを教えてもらったりする事により、少しずつ家事も上達して行くのですが、それとて「自分の仕事としての家事」を納得してやっている訳ではありません。ももこにあるのは只々「夫のつとむに対する復讐心」です。ももこが仕事を始めてからの流れは、全てのモチベーションがそれに基づいていると言っても過言ではありません。極め付けは、夫のつとむが交通事故で大怪我をして臥せっている時に、「私はあなたの扶養から抜けるだけの年収を得た。立派に自立したから離婚してくれ」と宣言し、溜飲を下げる所です。傍観者の立場になれば「自営業の年収201万ぐらいで何を威張ってるの? シンママでやって行くならそれじゃ致命的に足りないよ。各種の補助金にタカるつもりか?」とツッコミたくなるのですが、それはまあいいとしても、「夫が交通事故で臥せって弱気になっている時に、ここぞとばかりに復讐する」と言うのは、見苦しい事この上ありません。
まあこれについては「モラハラ夫に復讐する話でスカッとしてもらう」のが目的なので、商品としてはこれでもいいのでしょうが、世の「モラハラ被害者の女性」はこの程度の「レベルが低過ぎるファンタジー」で満足なさっておられるのでしょうか? それだったら、そのような方々も、「ももこ並の甘ちゃんだ」と言わざるを得ないでしょう。
私が見る限りですが、この物語の根底にあるのは「甘えと未熟」です。これはももこもつとむもそうです。一言で言いますと、この物語に出て来る夫婦は、両方共が「子供の時に親に甘えられなかった人間が配偶者にツケを回している」に尽きると思います。お互いに大人として相手の立場を尊重していない事が悪いのです。何よりの証拠は、「ももこは夫が自分の辛さを理解してくれない事に対して苦しんでいたが、家事代行サービスの人や友人から共感してもらって気が楽になって行く」と言う流れです。「自分が家事が下手な事を責めずに慰めて欲しい」ばっかりなのです。つとむはつとむで、「自分は妻子のためにこんなに仕事に苦労している。ももこだけ楽をするのは許せない」と言う、「全く筋違いの論理」に凝り固まっています。家事は妻に対するペナルティではないのですから、「どうすれば結果として家事をスムーズに片付けられるのか」について、ももこと話し合うべきでしょう。つとむにはそう言う態度が完全に欠落しています。そしてこの夫婦には、「自分の仕事は自分の義務なのだから文句を言わずにやる。そこで辛くても無関係な他者にその辛さは向けない」と言う「大人としての覚悟」は、どちらにも全くありません。
子供を作るのなら、ちゃんと責任を持って育てる覚悟で作るべきです。核家族を選択したのなら親との煩わしい人間関係から解放されている分、子育てに手がかかるのは当然です。妻が専業主婦を選択した以上、家事は主婦の仕事です。夫は妻に専業主婦をやらせている以上、少なくとも家事は正当な労働と認めるべきです。夫婦で「役割分担」を決めたのなら、自分の役割は自分の義務です。この物語の夫婦は、どちらにも「大人としての覚悟」が完全に欠落しています。「夫だけが悪い」と言う物ではありません。
この物語は「モラハラ」がテーマではありません。「大人としての覚悟の欠落」が本質です。
![]() | 価格:1,134円 |

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